機械知覚&ロボティクスグループ
中部大学

People Image Analysis

オンライン学習による物体追跡

物体追跡は、追跡対象の形状の変化や照明変化による見え変化、物体の移動やカメラ移動による動き変化、他の物体や追跡対象自身による遮へいなど様々な変化が生じる複雑な状況下でも対象を追跡し続けることが求められています。我々はこれらの問題に対して、弱識別器の形状変化、周辺領域の関係性、空間的および時間的な属性情報に注目し追跡性能の向上を実現しました。

Soft Decision Featureによる姿勢変化に対応した人物追跡
統計的学習手法のブースティング手法をオンラインでの物体追跡に拡張したOnline Boostingという手法があります。Online Boostingは追跡対象の変化に合わせて適した弱識別器をオンライン学習により選択することが可能です。しかし、人体のように姿勢や向き変化を生じる場合、すべての姿勢に対応した弱識別器を用意することは困難であり、計算コストも増大してしまいます。 我々は、弱識別器の形状をオンラインで最適化することが可能なSoft Decision Featureを提案しています。Soft Decision FeatureとOnline Real Boostingを組み合わせることで、従来手法では追跡することができない体の向き変化や姿勢変動が生じる場合でも追跡することが可能となっています。

SoftDecisionFeature

追跡対象と周辺領域の関係性に注目した物体追跡
物体追跡は、追跡対象の形状変化や照明変化による見え変化、物体の移動やカメラ移動による動き変化、他の物体や追跡対象自身による遮へいなど様々な変化が生じる複雑な状況下でも対象を追跡し続けることが求められています。従来の物体追跡は、これらの問題に対して、追跡対象と背景領域を区別するのに有効な情報を捉えることに主眼を置いてきました。我々は視点を変え、追跡対象と背景領域を区別するだけでなく、追跡対象の周辺状況を理解し、その情報を活用する協調的な物体追跡のモデルを提案します。提案モデルでは、周辺状況を理解する指標として、誤追跡の発生確率を導入します。誤追跡の発生確率は、追跡対象と周辺領域の特徴の類似性とその空間的な関係性から導くことができます。この発生確率をもとにして、追跡の振舞いを変えることで、類似する物体や背景への誤追跡を防ぐことが可能となっています。

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空間的および時間的な属性情報を導入した特徴点ベースの物体追跡
複雑な背景下でも追跡対象に生じる見えの変化に対して頑健に追跡するために、所属属性と記憶属性の2つの属性情報を導入した特徴点ベースの追跡手法です。所属属性とは、各特徴点が追跡対象の点か背景領域の点かを区別する為のものです。所属属性を用いることで、追跡対象の領域内に含まれる背景の特徴点を排除することができます。また、背景の特徴点が追跡対象に近づいていることを判断できるため、隠れが生じるか否かを事前に推定することが可能となります。記憶属性とは出現頻度に応じて特徴点の保持期間を変える為の属性です。出現頻度が高い特徴点を長期間保持することで、追跡対象に一時的な変化が生じても信頼のおける過去の特徴点を保持しているため、モデルの劣化を抑えることが可能となります。このようなアプローチにより、従来手法で課題であった見えの変化時の追跡失敗を防ぐことが可能となっています。

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