Random DropoutとEnsemble Inference Networksによる歩行者検出と標識認識
- Author
- 福井宏, 山下隆義, 山内悠嗣, 藤吉弘亘, 村瀬洋
- Publication
- 情報処理学会 論文誌
Advanced Driver Assistance Systemにおいて,ドライバの運転支援と歩行者との接触事故防止を実現するために,画像による歩行者検出と標識認識が重要な技術となっている.歩行者検出と標識認識は,これまで手動で設計した特徴量を識別器に入力して学習する方法が一般的に用いられているが,近年,Deep Learningを用いたアプローチが,手動で設計した特徴量を用いたアプローチを大きく上回ったことで注目されている.しかし,Deep Learningを用いたアプローチは,精度向上のために層を深くしたり,他の識別器と併用したりするアプローチが多い.そのため,これらのアプローチはネットワークの構造が複雑になる傾向がある.本稿では,1つのネットワークで高い性能の歩行者検出と標識認識を実現するため,DropoutのアルゴリズムをベースとしたRandom Dropoutと Ensemble Inference Networksを提案する.従来のDropoutは,学習時の各更新処理において一定の割合で選択したユニットの応答値を0にしている.提案するRandom Dropoutは,ランダムに決定した割合で選択したユニットの応答値を0にすることでDropoutよりも汎化性能を向上させる.Ensemble Inference Networksは,評価時に構造の異なる全結合層を複数生成し,各全結合層の応答値を統合することで,最終的な出力を得る.本研究では,1) Random Dropoutにより,歩行者や標識の隠れや姿勢変動に頑健であるネットワークを構築する. 2) Ensemble Inference Networksは,複数の全結合層により誤検出と誤認識を削減する.評価実験により, 歩行者検出と標識認識において,提案手法は End-to-Endで学習可能な単純な構造のネットワークであるにもかかわらず,各ベンチマークの高性能なDeep Learningベースの手法と同等の精度であることを確認した.
※本発表は情報処理学会論文誌ジャーナル/JIP特選論文を受賞しました。