機械知覚&ロボティクスグループ
中部大学

Human Detection Machine Learning

物体検出における学習の効率化(学習のサンプルの自動生成とハイブリッド型転移学習)

統計的学習手法に基づく物体検出法は, 学習サンプルに強い依存性があるため, 学習サンプルとカメラの設置環境が異なると, 検出性能を十分に発揮できないという問題があります. 設置環境で新たに学習サンプルを収集し, 再学習する必要があります. しかし, 学習サンプルの収集は, 大きな人的コストと学習に要する時間的コストが必要となるため, 問題となります. これらの問題に対して, 学習サンプルの収集を人体三次元モデルのCGを用いた生成型学習を行うことで特定シーンに特化した高精度化と効率化を実現するアプローチと, ハイブリッド型転移学習による学習時間の効率化について取り組んでいます.

人体三次元モデルのCGを用いた生成型学習
人体三次元デモルを用いて設置環境における人体シルエット画像を自動生成します. 人体の形状モデルは, 19のパーツが存在し, 19のパーツに歩行動作のパラメータを与えることで, 歩行姿勢として人体モデルを表現します. 特定シーンに特化した人体シルエット画像を得るために, 実環境に設置したカメラのパラメータを3次元人体モデルに入力し, 生成した人体シルエット画像を学習用ポジティブサンプルとして用います. 学習サンプルをCGで生成するため, 位置ずれのない大量の人体シルエット画像を生成することができます. ネガティブサンプルは, 撮影した映像中からランダムで切り出します. しかし, ランダムにサンプルを収集した場合, ネガティブサンプルとして人画像が収集される問題があります. この問題を解決するために, 誤って付与されたラベルを持つサンプルの混在を考慮したMILBoost により識別器を学習します. これにより, ネガティブサンプルのBagに人画像が混在する様な場合でも悪影響を受けない学習が可能となります.

milboostmilboost_out

ハイブリッド型転移学習
統計的学習法に基づく人検出では, 学習サンプル収集に伴う人的コストと特定シーンに合わせた再学習のための時間的コストが大きな問題となります. サンプル収集を省力化する手法としてBoostingに基づく転移学習が提案されていますが, 事前学習シーンと特定シーンの間に大きな変化がある場合, その変化に適応するのは困難となります. そこで, 転移によって得られる特徴量と, 再学習と同様の全特徴探索の2つの特徴空間を用意し, 定義する学習効率に基づいて特徴空間を選択的に切り替えるハイブリッド型転移学習を提案しています. これにより, 転移学習の持つ少数サンプルでの高速な識別器構築を特徴として持ち, 再学習に比べ3.2 倍以上高速で, 従来の転移学習に比べ8.35%の高精度化を実現しています.

HT

前の研究 次の研究