機械知覚&ロボティクスグループ
中部大学

Deep Learning Medical Imaging 口頭発表

エキスパートの知見を取り入れたマルチスケール・アテンション機構による疾患識別

Author
坂下祐輔, 平川翼, 山下隆義, 藤吉弘亘
Publication
画像センシングシンポジウム, 2020

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畳み込みニューラルネットワークでは,推論時の注視領域をヒートマップで表現したアテンションマップとして獲得し,判断根拠の視覚的説明に用いている.この視覚的説明の手法により,CNNの判断根拠の解釈が可能となってきた.しかし,Ground truth (GT)とこの視覚的説明である注視領域が一致しない場合が発生する.特に,医療画像診断の場合,疾患領域とモデルが出力する注視領域の不一致は診断根拠を説明するのに深刻な問題を引き起こし,医療画像診断システムにおける信頼性の低下に繋がる.
この問題を解決するために,我々は視覚的説明とアテンション機構を導入したAttention Branch Network (ABN)の構造に着目する.ABNは,アテンション機構で取得されたアテンションマップを認識機構へ応用することで,認識精度の向上を目的としたネットワークである.さらに,アテンションマップを人手により変更することで,その変更したアテンションマップに対応する認識結果を得ることができる特徴を持つ.しかし,一般的な識別モデルによる疾患識別では広範囲にわたる疾患領域は捉えることができるものの,微小な疾患を捉えることは困難である.
本研究では眼底疾患である糖尿病網膜症 (DR)のグレーディングを対象に提案手法の有効性を示す.DRは毛細血管瘤,出血,白斑等の種類や量,形状に応じて5つのグレードに分類される.しかし,DRのグレーディングは単なる疾患の識別問題ではなく,診断するために必要な病的異常は形状や外観,さらには疾患のサイズにかなりのばらつきがあるため,グレーディングを決定づけるための注目領域も疾患の種類により異なる.よって,毛細血管瘤や小領域の出血などの微小な疾患を捉えることができない従来の手法では,DRのグレード分類は困難である.
そこで,提案手法はABNのアテンション機構の特徴を用いて医師,すなわちエキスパートの知見を導入し,DRグレーディング時にグレーディングラベルと同時に疾患領域も含めて学習する方法を用いる.また,DRのグレーディングに必要な微小な疾患の検出にも対応できるよう,マルチスケールのアテンション機構を取り入れた手法を提案する.

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