生活支援ロボットのためのクラウドロボティクス
- Author
- 山内悠嗣,山下隆義,藤吉弘亘
- Publication
- 日本ロボット学会 学術講演会, 2015
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少子高齢化に伴い,労働者や介護者の不足が懸念されており,障がい者や高齢者の自立支援にロボットの活用が期待されている.人の生活の質(QoL : Quality of Life)の向上を目的とした生活支援ロボットのタスクとして,我々は以下の2つの自立支援,見守りが重要であると考える.
1. 短時間における自立支援,見守り : 物(日用品)を拾い,渡す,対話コミュニケーション等
2. 長時間における自立支援,見守り : 病気の早期発見,安否確認,服薬支援等
上記のタスクを実現するには,膨大な情報を実時間で処理することが要求され,ロボットに多くのリソースを持つ計算機を搭載する必要がある.これはロボットの大型化,高価格化に繋がるため,生活支援ロボットの実用化を妨げる要因となる.この問題を解決する方法として,2013年にKuffner等が提案したクラウドロボティクスがある.クラウドロボティクスとは,ロボットとクラウド上の認識エンジンや情報処理技術を連携させ,大規模な計算やデータベースを要求するような情報処理をクラウドで担うという考え方である.特に,近年ではネットワークの高速化,ネットワーク機器が急激に増加し,センサネットワークやMachine to Machine(M2M),Internet of Things(IoT)社会の到来も,クラウドロボティクスの発展に拍車を掛けている.また,音声認識,合成の分野では,クラウド型音声コミュニケーションツールキットrospeexが公開され,容易にロボットに組み込むことが可能である.本稿では,我々が取り組んでいる生活支援ロボットのための人を観る,物を観るクラウドロボティクスとそのプロトタイプシステムについて述べる.